▌建物の外見からおおよそ判断する方法
一般的にほぼ全ての建物を通して、地震に対する強さを決める要因として次が挙げられます。
① 柱や壁の量
② 建物の形状
③ 建物の古さ
① 柱や壁の量が多いと強くなり、少ないと地震で建物が揺れた時に上の階の建物の重さを支えられなくなり倒壊しやすくなります。また、壁が多い建物は地震に有利です。
② 建物の形状は、複雑なほど地震に危なくなる傾向があります。建物の平面的な形状が凸凹していたり、高さ方向にセットバック(下の階より上の階がへこんでいるような形)したりしていると、建物として弱点になることがあります。
③ 古い建物は、耐震的な配慮が少なかったり、弱い材料が使われていたり劣化していることもあり、地震に危ない傾向があるので、建物がいつ建てられたかに注意する必要があります。特に、1981年には建築基準法施行令が改正され、耐震設計の考え方が大きく変わったので、これ以前に建てられた建物は要注意です。☞「新耐震と旧耐震」参照
この他、建物の外見から判る地震に危ない建物として、
④ 一階が柱だけのピロティとなっている建物
⑤ 窓などの開口が多い建物
⑥ ひび割れの多い鉄筋コンクリート造の建物や、錆が多く目につく鉄骨造の建物
などが挙げられます。特に、ピロティは過去の地震でも被害が多いため注意しなければならない建物です。
【注】柱や壁がどこにあるか、目に見える範囲ではっきりと判らない分からない場合もあります。また、地震に対する建物の安全を考える場合、有効に働く柱や壁と、そうでないものとがあります。そのため、柱や壁の見た目の多い少ないだけで危ない建物を正確に見分けるのは難しいことがあります。したがって、心配な場合は、次に紹介する簡易な診断法を使ったり、専門家に相談することをお勧めします。もちろん、本ホームページの「お問合せ」へ連絡いただいても結構です。
▌誰でもできる簡易な診断法
【 木造の場合 】
ここでは、(一財)日本建築防災協会の「誰でもできるわが家の耐震診断」
を紹介します。
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/taishin_portal/daredemo_sp/index.html
この耐震診断は、住んでいる人が自身で住宅の耐震診断を行い、住宅のどのようなところに地震に対する強さ、弱さのポイントがあるかなどがわかるように作られています。うえのURLホームページに入り、設問1~10に答えを進めるうちに住宅の診断ができるように作られていますので、一度試してみてください。右図は、その入り口画面です。
なお、木造住宅の耐震性を詳しく定量的に検討する方法については、別項目の ☞「耐震診断とは?」を参照ください。
【 鉄筋コンクリート(RC)造の場合 】
ここでは、日本建築学会の「わが家の耐震-RC造編-簡易な耐震診断」を紹介します。
https://www.aij.or.jp/jpn/seismj/rc/rc3.htm
これは一般的なRC造の建物を対象として、簡易な耐震診断を行うためのものです。
下に示す診断フローに沿い、建物の環境や外形など下に示すような各要因に基づいて、建物の耐震性を簡易に判定するものです。最終的に「安全と思われます」、「診断をおすすめします」、「診断が必要です」の3つに分類されます。
なお、判定の精度はあくまで簡略、概略的な結果となります。RC造の耐震性を詳しく定量的に検討する方法については、別項目の ☞「耐震診断とは?」を参照ください。
◇建設年度:1980年以前、1981年以後 建築基準法施行令改正(新耐震設計法)
◇地 形:平坦地(良い)、斜面上傾斜地(悪い)、埋立地・沼地(悪い)
◇経年劣化:不同沈下(大)=建物沈下・ひびわれ・地盤沈下
ひびわれ(大)
鉄筋さび・外壁落下(大)
◇構造種別:同一構造(RCあるいはSの同種構造)、汎用構造(RC+Sの混合構造)
◇構造形式:壁式構造、ラーメン構造
◇ピロティ:有り、無し(一部がピロティでも該当する)
◇平面形状・立面形状:平面形のずれ(不良)、階高の不揃い(不良)、吹抜け(不良)、
セットバック(不良)
◇階 数:3階以下、4階以上
◇建設年度:1970年以前、1971年以後 建築基準法施行令改正(柱せん断設計強化)
★ 本項目や引用した内容に関するご質問などございましたらお問合せまでご連絡ください。